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映画の感想

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『チーム・バチスタの栄光』 , 2008

 竹内結子、阿部寛出演、中村義洋監督
 バチスタ手術の術死を調べるストーリー。
 心療内科医として働く医師に手術が失敗した原因を突き止める内容だが、ヒアリングした医師の状況をきちんと認識できなかった点が問題となる。 状況から何かを疑問に思う洞察力がその心療内科医には足りなかった点と、思わぬ結果が焦点となる。
 女医と厚生労働省の職員の変なやり取りは面白い。

『小さな目撃者』 Do Not Disturb !, 1999

 ウィリアム・ハート、ジェニファー・ティリー、フランチェスカ・ブラウン出演、ディック・マース監督
 オランダ、アメリカ映画
 アムステルダムへの父親の出張に家族も同行し、父親の仕事の契約を締結後に家族と共に過ごす予定であった。 滞在先のホテルに到着して、トイレに行った娘が迷子となる。それから、娘が偶然殺人現場を目撃していまい殺し屋に追われることになる。
 10歳の娘という設定であるが、10歳とは思えない機転で行動する。 また、殺し屋が結構間抜けなキャラクターとなっていて、ずいぶんとへまをしてなかなかその娘を捕らえ殺すことができない。 また、父親も救急車に飛び乗ったところから豹変し、かなりのアクションを展開する。それほど、スリルがある感じではない。

『地下室のメロディー』 Melodie en Sous-sol, 1963

 ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、モーリス・ビロー、アンリ・ヴェルヌイユ監督
 フランス映画
 最後の方のシーンで、プールサイドの椅子に二つのカバンを置いて座っているときの「間」がとてもバツの悪さ、身動きの取れなささを表している。 また、プールの水面に紙幣が浮かんでくる事を止めたいのに止めようのなさが伝わってくる。 口惜しさと大失態をしでかした喪失感、自分を恨む感じがなんともいえなく、ただ目を覆いたくなるばかりの光景である。 計画を立て、指揮する男と、若く、振る舞いに慎重さを欠く男が対照的である。また、犯罪に手を貸すがまっとうに生きようとするを選ぶ男がいる。 物事に動じない性質は、生来のものか、経験によって培われるものかもしれない。 悪事を働き、大金を手に入れ、散財し豪遊する人生を歩むか、つつましく日々の労働で手に入れた賃金で生活をすることを選ぶか、一般市民としてどちらの人生がいいのかは難しいところである。

『チザム』 Chisum, 1970

 ジョン・ウェイン、フォレスト・タッカー、クリストファー・ジョージ、グレン・コーベット出演、アンドリュー・V・マクラグレン監督
 利権を追求し、あくどい事を進めていく男の仲間と、なんとか治安を維持し、平和に町を発展させようとする男の仲間が対決する。 忍耐と思いやりがあればそれぞれの抗争は避けられたかもしれないが、法律を守らない人間がいる限り抗争は避けられない。 最後に全面対決をし、町の今後が決まっていく。人情もあり、善と悪の構図である。

『父よ』 , 2001

 ブリュノ・クレメール、ヴァンサン・ルクール出演、ジョゼ・ジョヴァンニ監督
 フランス映画
 死刑囚の息子を何とか救おうととても地道な努力と労力を使う。子に対する愛情の深さが示されている。 しかし、子に対する愛情をストレートに示そうとはせず、また、努力の成果を母親の成果として刑務所の子に伝えさせる。 父親と息子の関係、母親と息子の関係、両親の子どもに対する愛情、それぞれの形があるが、どのような形が正しいかは微妙なところである。 ただ、お互いに思いを理解することが必要なように思う。一方的なものではなく、どちらの立場であっても互いの立場を理解する必要がある追うに思う。

『ちはやふる -上の句-』 , 2016

 広瀬すず出演、小泉徳宏監督、末次由紀原作
 漫画の映画化。

 うまくまとまっていると思う。競技かるたの魅力を伝えられたかどうかは微妙だが、人間関係はうまく表現できたのではないかと思う。
 綾瀬が無駄美人だと表現はそんなになかったのではないかと思うが、やはり圧倒的な存在感を出してほしいものだ。アニメと違い、綾瀬が黒髪だったのは評価できると思う。

『ちはやふる -下の句-』 , 2016

 広瀬すず出演、小泉徳宏監督、末次由紀原作
 漫画の映画化。

 時間の関係だろうけど、かるたの魅力や、綾瀬がかるたに情熱をぶつける理由が無いように感じる。
 全体的に、これで見た人が内容をわかるのか、ちょっと疑問だ。

『チャーリーズ・エンジェル』 Charlie's Angels, 2000

 キャメロン・ディアス 、ドリュー・バリモア 、ルーシー・リュー 、ビル・マーレイ 、ティム・カリー出演、McG監督
 誘拐された人を探す依頼を受け、調査をするが、その依頼の裏には別の目的があった。その目的を阻止するために敵に挑む。
 アクションもあり、露出具合も適当でなかなか面白い映画である。 格闘シーンのみではなく、お茶らけた感じの程度も良い。ワイヤーアクションのスローモーションは少々新鮮味は無いが女性の格闘シーンはなんだか良い。 なかなか闘うシーンは様になっている。

『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』 Charlie's Angels:Full Throttle, 2003

 キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、バーニー・マック、デミ・ムーア出演、マックG監督
 証人保護プログラムの証人リストが暗号化されて入っている2つの指輪を取り戻すため元エンジェルに挑む。
 アクションは格好いいものがあるが、映像的に現実からかけ離れている感じがしてしまうのが残念。 バカっぽいキャラクターは面白いが、もっと凛とした色気もあったほうがギャップもあってよいと思う。

『チャーリーとチョコレート工場』 Charlie and the Chocolate Factory, 2005

 ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー、ヘレナ・ボナム=カーター、ノア・テイラー出演、ティム・バートン監督
 選ばれた5人の子どもとその付き添いの大人たちが工場長の案内を受けながらチョコレート工場を見学するという話である。
 やはりティム・バートン監督の作品だと思う。まともであるかと思えば、かなり癖のある映画である。 ファンタジーと捉えることで映画を見ることはできるが、見続けられるかどうかは、人によると感じる。 世界中の中でたった5枚のチョコレートに入ったゴールデンチケットを探す時の方法やチョコレート工場内での子どもの振る舞いは、 親の育て方や、躾の結果の表れという意味では教育的な感じであるが、やはり変な感じの映画である。 徐々に脱落し、最終的に残ったまともな子どもに工場を継がせ、工場長の親子関係を修復するというストーリーはいいが、映画としてみるには、根気が要る。 なお、どこからか連れて来た原住民たちも工場内で不思議さをいっそう表している。

『チャイナタウン』 CHINATOWN, 1974

 ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストン出演、ロマン・ポランスキー監督
 婦人を偽って夫の浮気調査を依頼されたことから思わぬ事件へと足を踏み入れる。 単純なる浮気調査であったはずであるが、その裏には多くの思惑が隠されていた。 浮気の現場は押さえることはできたが、それは仕組まれた調査依頼であり、探偵は陰謀の肩を担ぐことになった。 探偵としての意地から事件の真相を探る。
 なかなか筋は込みいっていて、それほど飽きさせない映画である。映画のラストは喪失感が漂っている。いろいろ積み上げてきたものがすべて崩れ去ったような感じが残る。 大切なものは失われてしまい、犠牲だけが残されたとしか認識できない印象である。

『着信アリ』 , 2003

 柴咲コウ、堤真一、吹石一恵、松重豊、筒井真理子、岸谷五朗、石橋蓮司出演、三池崇史監督
 日本映画
 自分の携帯電話に自分の携帯電話から着信し、留守番電話に死の予告が残されているというストーリーである。
 なかなか恐怖心を呼び起こす映画である。着信音や飴玉がキーとなっていて、効果的である。 出演者の恐怖におびえる顔もなかなかリアリティがある。警察やテレビ局の対応の描写が抜けている感じもするが全般的にはきちんと恐い映画となっている。 幽霊?幻覚?が見えるところは少し現実味を損なう感じであるが、鏡に映ったものが実態のように表現するところは常套的である。 ラストは『氷の微笑』のような印象を与える。

『着信アリ2』 , 2005

 ミムラ、吉沢悠、瀬戸朝香出演、塚本連平監督
 日本映画
 未来の時刻から自分の携帯電話に自分の携帯電話から着信し、それを聞いた人が死ぬというストーリーである。
 今度の死の着信は、台湾製である。ホラー映画のはずが、ラブストーリーのようなせりふが多く、それほど恐怖心を掻き立てられない。 登場人物は、皆、結構冷静である。 この映画の場合、着信してから死が近づく、死に直面する時間が迫ってくるという恐怖が必要であると思うが、それがあまり感じられない。 ミムラの演技は単に悲鳴をあげているだけで、あまりうまくない。  

『チャンス!』 The associate, 1996

 ウーピー・ゴールドバーグ出演、ニック・ディール監督
 成功物語であり、見ていてくどくはない。また女性蔑視にたいしての主張も含まれている。 ビジネスの世界で男性から女性への偏見があり、同内容の力量であっても女性よりも男性が優位になる。 女性では相手にされないと分かると苦し紛れで男性のパートナーを作り出してしまう。 男性パートナーの存在を使って自分のアイデアで仕事を成功させる。 ビジネスで男女差別を受ける女性の考えを映画の中に織り交ぜているし、 女性の目から女性の男性社会を渡り歩いて行くときの行動の悪さを批判している。 

『菊豆』(チュイトウ), 1990

 日中合作映画
 血(血縁)が人間達を縛る。 頼れそうだがもろい関係に囚われる。 古い体質が新しい生活の障壁となる。 人身売買のような人間関係によって形式的な夫婦が成立する。 自由な意思と立場が存在しない。 お金を持っているほうが適切な人間関係を阻害する。 その時代と社会には明らかに受け入れられない人達がいる。 愛憎が生と死をもたらす。 屈折した世界で育まれた愛から子どもが生まれ、不合理な社会によって作り出された憎悪から父親は殺される。 子どもにとっては、社会から認められない者はただ単に自分を苦しめる存在でしかなかった。 理想と純粋さだけを持った子ども時代の目からは、大人達の関係は汚れたけがらわしいものでしかなかったのであろう。 特定の立場にいるだけで、マジョリティの人間達からからかわれる。 社会が小さく閉鎖的でればあるだけ、そこでの個人のプライバシーは失われていく。 周りとの結びつきがきつくなればなるだけ、個人の生活は社会から干渉されていく。 人目をはばかる生活につぶされていく。

『蝶と花』, 1985

 タイ映画。貧しい農村地区で暮らす少年達の生活とこれからの人生が描かれている。 人生を謳歌するというようなものではなく、日々の糧を得るために必死になって働く。 物質的にも精神的にも貧しい世界である。 学力的にはレベルは高いが生活水準がかなり低い。 そういう環境の中で自分の力で生きていこうとする。 頭を使う仕事ではなく、危険をともなう労働である。 しかし、そういうことなど全く念頭にない。 今日をどうやって乗り越えていこうかという感じて生活が進んでいく。 きわめて現実的な貧しさを感じる。 そういう状況からの転機がやってくる。 友人の言った言葉や友人の死がそれである。危険な労働をすることで 金銭的に多少の余裕が出てきた中でこれからの先の状況を見ようとする。 昔からの知り合いとともに新しい生活をはじめようとする。 変に賢しくなく現実的に短期的な人生設計を立てるというところには好感が持てる。 少年期や青年期はある程度現実的で手堅いものよりも理想的なものを求める傾向がある。

『チョコレート』 MONSTER'S BALL, 2001

 ビリー・ボブ・ソーントン、ハリー・ベリー出演、マーク・フォースター監督
父と息子を偶然看取った男。 目の前で失った息子。表現できない感情。 昇華できない感情。意味も無く喪失させるもの。 張り裂けさせたい思い、潰させたい思い。 同じ境遇の二人が交わる。 心の隙間を広げるもの。心の隙間を埋めてくれるもの。 身分とか立場による違いよりも、通い合う気持ちが優先される。 そういうものを感じさせてくれるので良い。

『沈黙の陰謀』 The Patriot, 1998

 スティーブン・セガール出演、ディーン・セムラー監督
 CIAの一員だった免疫学者がウィルス性の伝染病の治療薬を開発するストーリーである。 科学者だけの側面ではなく、先住民族の知識を用い治療薬を開発する。 現代科学の知識だけではなく、昔ながらの先住民族の伝統が重要視される。 理想とする国家を建国するために生物兵器を武器とするテロ集団と、 思想を重視する田舎の医者が対決するというヒーローストリーである。 娘が茶目っ気たっぷりである。

『追憶』 The way we were, 1973

バーバラ・ストライサンド、ロバート・レッドフォード出演、シドニー・ポラック監督・製作
 価値観をすり合わせないで感覚だけで付き合うから本質的な部分で繋がっていられない。 普段は楽しいけれど大切なところでかみ合わない。自分の重要度の高い部分で意見が摺り寄せられない。 ジョークをジョークと受けとめられない。 それは自分の大切な部分と背反するからだ。どうしても譲れない部分であるから怒りが込み上げてくる。 自分の理想と現実の相手の生き方が違う。現在も未来の可能性としても。

『ツイスター』 TWISTER, 1996

 ビル・パクストン、ヘレン・ハント出演、ヤン・デ・ボン監督、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮
 Dorothy は『オズの魔法使い』のドロシーからとったのだろうか。 ドロシーによって予報がはやくできるようになって人々の安全を守れるということなのだろうか。
 特殊な状況下で一組の男女が関係を戻していくのはわかる気がする。 善悪の区別がついていて、対照的な人間関係ができている。 あれだけの災害であったのに重傷者があまり出てこなかったので現実感を欠いたものになっているのではないか。

『追跡者』 U.S. Marshals, 1998

 トミー・リー・ジョーンズ、ウェズリー・スナイプス、ロバート・ダウニー・ジュニア出演、スチュワート・ベアード監督
 最後のベットで容疑者を殺そうとしたシーンで、相手はプロのはずなのにどうして、銃に弾が入っているか入っていないかという 事がわからなかったのであろうか。訓練を受けた人間なら弾の入っていない銃の重さくらいわかってほしいものだ。その部分は気になる。 しかし、いろいろと見所の多い映画である。身内の犯行であるというのはわかりやすいが、 ビルの上から飛び降りたり、いろいろな材料から犯人を見つけようとすることなどはおもしろい。 ビデオテープを見て犯人が手袋をしているとか、女が試着しているということから犯人もそこにいるとわかるとこや、 酔い止めの薬のゴミが残っていたということから船に乗ろうとしていると気づくことなどはすばらしい。 緊迫感などはあまり表現されておらず、犯人を特定して捕まえるということに重点が置かれている映画のようだ。

『ツインズ』 TWINS, 1988

 アーノルド・シュワルツェネッガー主演、アイバン・ライトマン監督・製作
 双子といっても、育成される環境によって人間は違ってくるということの極端な例かもしれない。 三歳児教育や、両親が子どもに与える影響など案に意味しているのかもしれない。 親にかまってもらえない子どもがどのように育つか、また、その逆などが現れているように感じる。 子どもの情操教育がどのような影響を与えるのかということがコメディとして描かれているこの映画の側面に存在しているのかもしれない。

『憑神』 , 2007

 浅田次郎原作、妻夫木聡、夏木マリ、赤井英和、香川照之、西田敏行出演、降旗康男監督
 幕末、代々影武者としての役目を継ぐ家系に生まれ、貧乏神、疫病神、死神が取り付く男の話。
 ストーリーとしては悪くはないが、すこしテーマ性にかける部分がある。 エンターテイメントとしても弱い感じがする。
 しかし、「志」のために死ぬ、ということは現代では余り感じることがない事柄であろう。 そういう意味では、「志」という言葉を新鮮に感じた。 現代では感情によって生き、志で生きることはほとんどない。今という世の中にとっては、志という言葉が出てくる映画は稀だろう。 情報が氾濫し、情報によって右往左往し、情報過多で生きにくいこの時代で、「志」で生きるという人間はとても輝いていることだろう。 やはり、頭で考えて生きていく人間が少しでも多いほうが理想なのだろうと思う。

『月のあかり』 , 2000

 椎名へきる、笠原紳司、葛山信吾、黒田倫弘、加藤登紀子、本郷功次郎出演、倉持健一監督
 日本映画
 東京から来た男女と、沖縄で飲み屋を営む店主と従業員の一時期を描く。
 自分や他人、行き方や物事がわかったのか、わからないのか不明である。都会での生活と田舎での生活はどちらが楽園なのだろうか。 目標を持たず自然に身をおくことで楽園だと感じ、ふらふらと定職に着かず旅をする若者。 都会に出稼ぎに行き、妻を幸せにできると思ったときには妻を亡くしてしまう中年。 相手を思い、愛している女。月明かりに照らされる店にいる人間たちには何か共通するものがあるのだろうか。 日常を離れることでわかるもの、土地に根付くことでわかるものがあるだろう。 人生や自分に疑問を抱いている人間たちがそこにいるように思える。

『月の輝く夜に』 Moonstruck, 1987

 シェール、ニコラス・ケイジ、ヴィンセント・ガルデニア、オリンピア・デュカキス、ダニー・アイエロ出演、ノーマン・ジュイソン監督
 人の気持ちは移ろいやすく、不確かなものであり、突然変わるものであるかもしれない。 不快感こそないが、この映画のストーリーはすこし突発的なものであるように感じる。 7年前に事故で夫と死別したロレッタの恋愛感情は自由気ままであってもよいかもしれないが、 ロレッタの両親のそれぞれの浮ついた、隙のある気持ちは、ちょっと違和感があるかもしれない。 自分の感情に任せて判断することはあってもよいが、相手を信頼する気持ちを失ってしまうと、関係自体が継続できなくなるように思う。 相手を信頼できなくなるということは、自分の気持ち自体がすでに離れていっているということになるのだろう。 兄弟の関係、婚約者との関係などもう少し微妙なところが描写されていてもよいと思う。

『椿三十郎』 , 2007

 織田裕二、豊川悦司出演、森田芳光監督
 汚職を正そうとした若侍たちを助ける浪人を描く。
 格好いいとは程遠いような気がする。おちゃらけた感じとのギャップも効果は薄い。 威厳や荒ぶる態度、高邁な精神がにじみ出るような映像だったらよい。 最後のシーンのような印象を全体部分で統一的に表現すればもっと良かったように思う。

『椿姫』 Camille, 1937

 グレタ・ガルボ、ロバート・テイラー、ライオネル・バリモア出演、ジョージ・キューカー監督
 愛を感じるのには遅すぎた感じが残る。椿を買ったり宝石を買ったりして浪費をするが、その支払いを男に頼む。そういう生活を続けてきた女性が一人の若い男に恋をし、愛するようになるのだが、 その愛を感じ、現実に実行しようとしたがそのときにはすでにこれまでやってきたことが足かせとなる。 これまでには見せなかった誠実さを示したり、哀れみを感じたりする。相手を思い、自分が身を引くことで相手の幸せを願う。 単なる涙の出る話ではないのは、自分が身を引かざるを得ないことになったのは、これまで行ってきた自分の行為が原因であるところだろう。 自分を犠牲にすることになったのは、これまで金を浪費してきたと同時に自分の魂まで浪費してきたためだろう。 純粋に単純に相手を思う気持ちの自己犠牲ではなく、そこには暗い影が付きまとったものがあった。 悲しく切ない映画でもあるがそれのみでないところがこの映画のいいところであろう。

『つばさ』 Wings, 1927

 チャールズ・バディー・ロジャース、リチャード・アーレン、クララ・ボウ出演、ウィリアム・A・ウェルマン監督
 "It was -- war."
戦争だったということで息子を失った悲しみを和らげ、納得させようとする。勲章とお守りがむなしく残される。 戦争は若者が若者の命を失わせる。 終戦後、一人は英雄として凱旋し、一人は不慮とのこととはいえ命を落とすこととなる。 腕のいいパイロットして二人は活躍をするが、あることがきっかけで恋愛感情のもつれから自制心を失い、集中、冷静な対応ができなくなる。 そのことで結果的に悔恨の情を生むことになる。
 シルビアのことに関して、誤解を解くきっかけもなく、あえて言うすることもせず、ただ自分の胸のうちに秘めている。 荷物の中を調べて送ってくれとだけ言い残す。それが無二の親友を思うが故の心遣いであった。

『冷たい月を抱く女』 Malice, 1993

 ニコール・キッドマン、アレック・ボールドウィン出演、ハロルド・ベッカー監督・製作
 まじめで正直者ではあるが、簡単に人を信じる夫と、狡猾な美人な妻が騙しあいをする。 最初は簡単に人を信じる単純な夫なのだが、どうしてか知らないが一度騙されたと分かったらなぜか大胆に行動する頭の切れる男へと変身する。 また、妻と結託する医者は自分の経歴と医師免許をかけるほどのそれだけの価値が陰謀にあったのだろうか。 また、昇進できなかったからその恨みを返すということなら、それだけ自分の経歴にプライドを持っていたことにはならないだろうか。 もしそうなら、経歴と医師免許を捨てるようなことをするものだろうか。 将来性のない男ならお金に執着してもわからなくもないが、自分が築いてきた物を棒に振るようなことをするきっかけとは一体何だろうか。 また、その妻と医者が結びついた接点とは何処であるのだろうか。 夫と結婚する前からずっとたくらんでいたのだろうか。それにしてはずいぶんと時間のかかることをしたものだが。 それほどに人を騙すのは時間と辛抱が必要なのだろうか。


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