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映画の感想

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『ハートブルー』 Point break, 1991

 キアヌ・リーブス出演、キャスリン・ビグロー監督
 前半部分までのストーリーは良く分かるが、後半部分はストーリーがむちゃくちゃな感じである。 FBIとしての生き方をするのか、サーファーとしての生き方をするのか、友情や愛情を大切にするのか、 主人公の生き方は何を求めているのか良く分からない。 職務を優先させるのか、サーファーとしての生き方を優先させるのか、その両方なのか、両方とも違うのか。 彼の生き方や行動、彼の職業のあり方が意味不明である。 公私混同するにも程がある。かなり自己中心的な行動をとっている。犯人の主義主張も何かぼやけているし犯人たちの言動に一貫性が無く、 何を考えているのか良く分からない。全体的にストーリーは理解しがたい。スカイダイビングするシーンは良い。

『ハートロッカー』 THE HURT LOCKER, 2008

ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー出演、キャスリン・ビグロー監督
 イラク戦争後のアメリカ軍の爆弾処理班の話
 多少の緊張感はあるが、多少である。凄腕の爆弾処理人ならそれなりの描き方が、または、凄腕でも緊張感を表現するのならもっと緊張感を表現してほしかった。
 今回のイラク戦争自体が必要性があったのかどうか分からないような政治的な要素があるので、 こういう人たちがいて、こういう行為をイラクでせざるを得ないということが問題なのではないかと思う。 爆弾処理がどうこうではなく、網が張ってある爆弾処理をしなければならない状況へ陥いらせた政治の問題だと思う。
 映画として、それほど見ごたえがあるものではない。  

『ハーモニーベイの夜明け』 Instinct, 1999

 アンソニー・ホプキンス、キューバ・グッディングJr、出演、ジョン・タートルトーブ監督
 コミュニティの一員として仲間を守ろうとする。 そこには、管理、独占、支配、野心ではなく、peace やharmony 生来の傾向があるという。また、それを求めようとする。 権利の平等が与えられている社会を当然のこととし、権力や支配力によって操作されているコミュニティを嫌う。 現代社会では幻想に取り付かれた人間が多くいる。 人間が野生に戻るのではなく、野生に存在している、 および過去にあったであろう、peace やharmony 生来の傾向がある社会で生きようとする。
 心を解きほぐして動機を聞き出すために接見する。かかわりすぎであったり、のめりこみすぎのような印象もあるが、 真実を聞き出すことに成功する。なお、真実を聞き出す過程で自分の生き方を見直すことになる。

『背信の行方』 SIMPATICO, 1999

 ニック・ノルティ、ジェフ・ブリッジス、シャロン・ストーン、キャサリン・キーナー、アルバート・フィニー出演、マシュー・ウォーカス監督
 競馬における過去の不正の証拠のネタを巡り、不正をした人間と、はめられた人間のその後の人生と葛藤を描く。 馬を取り替えて不正に賞金を獲得したことがコミッショナーにばれてしまう。しかし、ばれたことで犯人が捕まるのではなく、 その犯人がばらされないようにコミッショナーに女性を近づけて陥れ、コミッショナーに罪をかぶせてしまう。 そのときの陥れた情事が写っている写真とネガを巡り、当時の犯人たちとコミッショナーが20年後に再会する。
 それほど抑揚がある映画ではない。20年間悩んだ感じもそれほどなかった。馬にかける熱意というのもあまり感じられなかった。 不正にからみ陥れられた人間が這い上がった姿と、陥れた人間がこれから落ちて行くかもしれない姿があり、落ちるかどうかの際が描かれている。 また、不正には全く関係のない女性がいて、新たな不正にはかかわらず跳ね除けていく強い女性も描かれている。

『ハイ・フィデリティ』 HIGH FIDELITY, 1989

 ジョン・キューザック、イーベン・ヤイレ、ジャック・ブラック出演、スティーブン・フリアーズ監督
 レコード店を経営している男が、同棲していた現在の恋人が出て行ったことで過去の失恋のワースト5を考え出し、その女性たちへ会いに行く。 その当時の嫌な、ショックだった思い出を持って、彼女達にそれぞれ理由を聞いて回る。 理由を聞いたり、当時の状況を彼女たちから聞いていくうちに、自分の勘違いや思い過ごしの部分がほとんどであり、単に自分の思考がぐるぐると悪循環に陥っていただけである事が分かってくる。 そこで、雇っている店員やレコード店で万引きした少年たちと接しながら自分の思考を変えていき、出て行った恋人との関係も改善させる。 自分の一方的な思い込みにより、適切で正確な判断ができなくなり、さらにその間違った判断により行動も不適切となり、 めぐりゆく思考や人間関係を悪化させていた事に気づく。前向きな思考をし、勝手な思い込みを止める事で自分自身を幸せに出来る事を体験する。

『ハウルの動く城』 , 2004

 声:倍賞千恵子、木村拓哉、美輪明宏、我修院達也、神木隆之介、宮崎駿監督
 アニメーション
 わがままで臆病者のハウルを、父の帽子屋を継いでいるソフィーを通じて立ちなおさせるストーリーである。
 この映画のみでは少し話が分かりにくい感じがある。また、恋愛感情なども性急な感じである。 戦争は住む家を焼き、人の命を奪う。魔法学校へ入る時の契約があるが、そういう戦争に協力はしたくないハウルの気持ちは分かる。 また、悪に興味を持ち自ら近づいたことで悪い方向へ落ちていくことも分かる。そこから、愛を通じて正常な方向へ戻っていく姿も分かる。 しかし、そういう関係がすこし短絡的で簡単に描かれているような印象が残る。深みが無く表面的な印象である。 時間が長くなっても、もう少し人間関係をつなげる挿話があってもよいと思う。 なお、ソフィーの髪の長さや背丈が感情や場面によって変化するところは興味深い。

『蝿の王』 Lord of The Flies, 2000

 バルサザール・ゲティ、クリス・フュール、ダニュエル・ピポリー出演、ハリー・フック監督
 イギリス映画、ウィリアム・ゴールディングが54年に発表した同名小説
 飛行機が墜落して、子ども達だけが助かり、無人島で助けが来るのを待つ。自分達子どもだけしかいない社会では、自分達が「中心」となる。 そこには、制度も法律も無い。あるのは自分達以外誰もいない環境である。みんなで集まり、ルールを作り、助けがくるまでの間を凌ごうとする。 ルールを忠実に守り、苦労するが全員が助かるように思えたが、ルールを守る意志が薄れ、次第に無秩序となり、個人が勝って気ままに行動するようになる。 ルールが失われ、力を持つものが支配しようとする。力を持つものがルールとなり、次第に凶暴化、残虐化する。 「欲動」をあらわにし、人の死などなんとも思わない、人の尊厳をないがしろにする。 暴走し欲動や無法が頂点に達したとき、外部からの制度やルールの傘に入り平穏を取り戻し正常化する。 欲動を覆う抑止力がひとたび失われると、人は理性の無い残虐な動物と化す。 コミュニティの中で法や制度、それを執行する人という抑止力によって「牽制」され、人は人らしく生活する事ができると痛感させられる。

『博士の愛した数式』 , 2005

 寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子出演、小泉堯史監督
 交通事故後、80分の記憶しか保持できない数学博士と、その博士のための家政婦、その家政婦の息子の数字を通したつながりの物語である。
 感動があふれるということではないが、人としてのささやかな愛情が垣間見られる映画である。 数字を通した会話や意思疎通はとても新鮮で、興味深いものがある。純粋に現在の関係を表すのにはとても最適なものかもしれない。 純粋無垢な子どもと、素直な数字とのつながりは、現在の記憶を保持できない博士にとっては、心安らかなる時間だったことだろう。 コミュニケーションを取りづらい場合での、人と人とのコミュニケーションの方法の一つを描いているように思う。

『ハタリ!』 Hatari !, 1961

 ジョン・ウェイン、ハーディー・クリューガー、レッド・バトンズ、エルザ・マルティネッリ、ジェラール・ブラン出演、ハワード・ホークス監督
 アフリカで動物園からの依頼により、野生の動物を生け捕りにしている男たちとそこにいる(来た)女たちの恋愛も含めて描かれている。 動物を追うときの映像がとてもスピード感にあふれている。動物を追い、併走するシーンは誇りを巻き上げ、平地を駆け抜ける映像である。 力強い動物をロープで生け捕りにしようとする。何本ものロープで動物を押さえつけるが、ロープが外れたりしてもう一度動物を追う。 野生の生命力にあふれている、力強い様が鮮明に描かれているように思う。 それとは対照的に、男女の恋愛における駆け引きや、すっきりとしない様、ためらい、最後にはお決まりの結果などが描かれている。

『裸の銃を持つ逃亡者』 WRONGFULLY ACCUSED, 1998

 レスリー・ニールセン出演
 悪意のない笑いはとても愉快である。タイトルのとおりある作品のパロディである。 その他の作品のパロディも含まれていていろいろなサスペンスなどを見ているともっと馬鹿らしい笑いがある。 電車とバスがぶつかるシーンは分かりやすいくだらなさを出している。 よく思うことだが、ばかばかしいものを真剣に作る勇気と努力はすばらしいものだと思う。

『ハチミツとクローバー』 , 2006

 櫻井翔、蒼井優、伊勢谷友介、加瀬亮、関めぐみ主演、高田雅博監督
 美大に通う学生たちの青春物語。
 季節感や、学校のごちゃごちゃした感じ、雑多な生活空間など雰囲気のある映画である。空気、匂いを感じる。学生たちの生活の様子が絶妙な感じで描かれている。 学業や恋愛そのほかの事に体当たりで立ち向かっていく姿が印象的である。また、全身全霊で打ち込んでいる様子が伺われる。 寄り道や無意味さなどは関係なく、力いっぱい生きている。いわゆる青春という感じである。

『二十日鼠と人間』 Of mice and men, 1992

 スタインベックの小説(1937)の映画化 ゲイリー・シニーズ主演、監督作品
 その人間にとって何が大切であるのか。 その人間にとってどうすれば不幸にならないのか。 その人間にとってどういう行為が求められるのか。 自分の事よりも相手の人生について苦悩する場面が多い。同情というよりも切ない感情が表れている。 対照的な二人がわけあっていっしょに労働をしている。 二人が持つ夢に向かって働いている。それがいつ実現するのかわからないが、少しずつでもそれに近づこうとしている。 はかない夢が実現しかけたある時に、もろくもある出来事が起こって崩れてしまう。 相手が恐れていた事が起こってしまう。いつかは来るであろうと思っていた事が現実となってしまった。 この先の人間の人生を考えると、何がその人間にとって正しい事であるかを考える。 自分たちの夢を語りながらある決断が下される。相手を愛していた行為だと私は思う。 相手にとってその行為はとても残酷であるが、そうする事がその人間にとって幸せであり、人間として生きてきた最高の瞬間で終われるものであろう。 自分にその行為をする権利があるかどうかの判断は、葛藤と迷いをもたらす。 しかし、どうする事が不幸にならないかを考えるとやむをえないと思うだろう。

『初恋のきた道』 我的父親母親, 2000

 チャン・ツィイー、スン・ホンレイ、チョン・ハオ、チャオ・ユエリン出演、チャン・イーモウ監督
 アメリカ・中国合作
 作品自体は、父と母の出会いから結ばれるまでが中心となって描かれている。 無くした髪留めを探しているシーンや、割れた器を修理してもらっているシーンは、人の「人を想う気持ち」や「いたわり」を感じさせる。
 母は、昔ながらの風習により父の棺を村まで担いで帰りたいと言う。町と村を結ぶ一本の道には母の思い出がある。 最後にその道を父の棺とともに歩きたいと言う。その道のりには、父が教えたという元生徒たちの意思と、母の意思が静かに存在する。 村へ戻ってきた後、生前の父の気持ちと現在の母の気持ちを聞き、息子はその気持ちに応えようとする。 両親の気持ちに応えて、息子が態度に示すというところが、「家族」という絆の表れなのかもしれない。

『ハッド』 Hud, 1963

 ポール・ニューマン、メルヴィン・ダグラス、パトリシア・ニール、ブランドン・デ・ワイルド出演、マーティン・リット監督
 好き勝手に生きてきたハッドであったが、 最後には全てを失ってしまう。自分の周りから人も財産も離れてしまう。 牧場の牛の処分を巡り父親と対立する。また、弁護士を通じて財産管理を自分へ移そうとする。 彼は飲酒運転が原因で兄を失ってしまったことのために父親から気に入られていないと思っていたが、実際はそうではなかった。 人を慈しむ心がない事を父親から攻め立てられる。また、酔っ払って気のあるメイドの女性を無理やり押し倒そうとした事でその女性からも甥からも見放されてしまう。 牧場から牛がいなくなり、父親が死に、甥とメイドが去っていった家に彼だけが残る。 牛を処分したときの風の音だけが聞こえる場面はとても物悲しさを感じさせる。 若いときには、クールとか格好がいい、勢いがあるだけでも十分魅力的であるが、 それ意外な魅力を身につけないと年をとるごとに誰にも相手にされなくなるということのように思う。

『ハッピーエンド』 HAPPY END, 1999

 チョン・ドヨン、チェ・ミンシク、チュ・ジンモ出演、チョン・ジウ脚本、監督
 韓国映画
 働いている妻が不倫をし、それに気づいた夫がある行動をとる。
 不倫に関していえば、生活がないから関係が成り立つものであり、もしそこへ生活が舞い込んでしまうと関係が全然別のものになってしまう。 また、その関係も一時の過ちというぞくぞくする刺激のある楽しい関係ではなくなる。妻は不倫でよかったのだろう。 しかし、不倫相手は生活を持とうとして、不倫の関係が壊れていってしまう。 また、職が見つからない夫はかなり惨めなことに思える。 事件後、不倫相手が撮った彼女の写真を夫が燃やし、そして写真に写っている彼女が消える場面は、夫の心の中にいる彼女も消えてしまったように思える。 なお、性描写が結構ある。なんだかちょっと品の無い映画のように感じる。

『ハッピーフライト』 , 2008

 田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか出演、矢口史靖監督
 国際線初フライトのCAと機長昇進の認定OJTを受ける副操縦士の奮闘を描く。
 映画の時間自体が短いのでとても見やすい。全体的にコメディ調で描かれているが、綾瀬はるかの魅力がもっと描かれていれば良いと思う。 飛行機を飛ばすために地上でいろいろと神経を使っている姿や、接客をするCAの厳しいところなどをコミカルに描いている。

『波止場』 On the Waterfront, 1954

 マーロン・ブランド、エヴァ・マリー・セイント、リー・J・コッブ、カール・マルデン出演、エリア・カザン監督
 波止場での組合の利権を一手に握るボスから正義と秩序を沖仲士(おきなかし)が取り戻すストーリーである。
 罪もない人間が殺され、自分も殺されるかもしれないという恐怖におびえ、誰が犯人かがわかっていても皆沈黙する。 しかし、神父の説得に応じ、一人が立ち上がるが、事故死を装われ殺されてしまう。 そこで沈黙がさらに強固となるかと思われたが、正義と良心により召還され証言しようとする男が現れる。 裏切り者と後ろ指をさされるが、ボスに立ち向かう彼の勇気と正義に皆は心を動かされる。 正義を取り戻そうとする良心が次第に皆に浸透するというところは、まだ救いのある社会であるということだろう。 こういう人間たちがいる社会は自浄作用が働くことだろう。そういうものが描かれている。

『花のあと』 , 2010

 北川景子、甲本雅裕出演、中西健二 監督
 藤沢周平原作
 一度だけ竹刀を交えた男が江戸の地で自害をしたと伝えられる。その原因を自分の許婚に尋ねるが。
 愚直なまでの真直ぐさを持つ女とふわふわと漂うような気楽さを持つ男が対照的である。 北川景子は桜色の着物がとても似合う。 剣術に関しては、もう少し力強さが備わっていた方がぶれが無く格好の良いものとなっていただろう。 また、カメラアングルももう少し工夫があると臨場感が出ると思う。 市川亀次郎はとてもよい存在感である。

『花の影』 風月, 1996

 香港映画
 時代という残酷な土台の上で踊らされる男女たちがいる。 家父長制の中で男であることと女であることの運命に苦しむ。 時代の流れの中で混迷した人生をおくる。古いしきたりの中で、新しい流れに乗ることなく飼い殺しのように生きている。 自分の意思を殺して生きる人間たちがいる。 時代の流れに乗る人間と、乗れない人間がいる。一つの時間の中に2つの世界観がある。 新しい時代を感じる人間と、新しい時代を感じない人間。新しい時代に触れ自分の視野を広げ、自分の世界を広げようとする。 新しい時代に生きる人間と、古い時代にしがみついて生きる人間が混迷する。 時代に翻弄され、古い制度に縛り付けられた男女の人生が描かれている。

『花嫁の父』 Father of the Bride, 1950

 スペンサー・トレイシー 、エリザベス・テイラー 、ジョーン・ベネット 、ドン・テイラー出演、ヴィンセント・ミネリ監督
 娘を嫁に行かせる父親がその心情を綴る。
 突然、娘が結婚をしたいようなことを告白をし、父親は不愉快になる。 相手がどんな男か、娘が幸せになるかどうかを心配し、結婚式の費用を心配し、結婚式や披露宴の成功を案じる。 娘と母親は友達のように準備をするが、父親は蚊帳の外である。 娘を手放したくないと思うが、娘は嫁に行っても永遠に親の娘だと最後には思う。 披露宴の時には娘と会話をしたいと思うが、なかなか会えない。結局会えずに娘は新婚旅行に行ってしまう。 父親は残念に思うが、娘から電話がかかってきて、永遠に娘だと思う。電話を切るときの父親の顔の表情はとても満足そうである。 娘の結婚を通して、自分たち夫婦の関係を再認識し、今後に向かっていく感じとなっているところは良い。

『花嫁のパパ』 FATHER OF THE BRIDE, 1991

 スティーブ・マーチン、ダイアン・キートン出演、チャールズ・シャイアー監督
 娘から結婚する彼についての事実を聞いて、自分なりの解釈をするところはいい。 父親の心情を察することができる。また、彼に初めて会った時の父親の視線には同情する。 彼の手に妬きながらずっと見ている。話の途中、 "your daughter" と彼が言うが父親からすれば複雑な気持ちがするかもしれない。 娘の事を「アニー」と呼ばれるのと、「娘さん」と呼ばれるのは結婚するといわれたときの父親の心情ではどっちがいいのだろうか。 父親もかつて結婚して、今、娘が結婚する。世代がそのままスライドする。婚約から結婚式までの 父親の心情を描いているのだが、父親が昔結婚した時のこともフラッシュバックで挿入すると 自分が花婿だった時の視点と今の父親の視点が混ざってもっと良かったのではないかと思う。 コメディ調でストーリーが展開するのだが、コメディとは程遠い『ベートーベンの交響曲第5番』 などの暗い曲を流したら逆にコメディに拍車がかかったように思う。

『ハノーバー・ストリート 哀愁の街角』 HANOVER STREET, 1979

 ハリソン・フォード、レスリー・アン・ダウン出演、ピーター・ハイアムズ監督
 "coffee", "tea" が二人の記憶に残る。最初に出会ったときは二人の飲みたいものは違っていたが、 最後に別れるときは"tea"が二人の記憶を繋げる唯一のものになる。 彼女は"too late"と言って一度は結ばれることを拒むが、それ以上に何かつながりうるものがあったのだろう。 二人は関係を持つ。そうなると、今まで全く知らなかった彼が彼女の夫と奇妙な縁で知り合うことはとても残酷な気がする。 飛行機が撃墜されその二人がドイツ軍から逃げるシーンはとても迫力がある。 車やバイクで逃げるシーンはスピード感がとても出ている。カメラアングルが下のほうから 向いていて走り去る道路と遠くのほうの風景の対照が良い。
 また、イギリスに戻ってまた二人が再開する時に、紅茶のことを話し、背を向けて別れるシーンは良い。 お互いのことを思いながら、そういう出会いをしたことには後悔しない。 お互いの引き際をわきまえた冷静で穏やかな決断は切ないが心地の良い余韻を残す。

『母の贈りもの』 A HOME OF OUR OWN, 1993

 キャシー・ベイツ、エドワード・ファーロング出演、トニー・ビル監督
 火災が発生したのは fault ではなく、accidentであるという。 人生は不公平で不平等である。幸福な人もいれば不幸な人もいる。 裕福である人もいれば、貧乏な人もいる。自分および、家族はどちらに転ぶかは分からない。 分からないというよりは、どちらに進むのかは不明である。 現状を受け入れて、努力して、信じてやっていくのか、または、不平等であると空想や逃避してすべてを投げ出すのかを選択しなければならない。 今いる状況で着々と進んでいくことを母は子供たちに教えようとする。 苦難や不幸、貧しさの中で家族をまとめて幸せにしようとする母の気持ちを子供たちは感じ取る。

『母の眠り』 ONE TRUE THING, 1998

 メリル・ストリープ、レニー・ゼルウィンガー出演、カール・フランクリン監督
 母を看病したことをきっかけに自分の家族の役割を改めて見直す。 成長した今での自分の生活では決してわからないような母の生活を体験する。 キャリアウーマンとして仕事をもって社会で働いている姿ではなく、 家の中で父の帰りを待ち、家事や掃除、地域社会の活動の生活である。 母のことも父のことも今までよく考えてきてはなかったが、 母の存在、父の存在を考えさせられる。 自分とは違う生活と考え方、それをなかなか受け入れられなかったが、 母の看病を通して、また、母の死を理解することでこれまでの自分とは違う道を再考するきっかけとなる。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 Harry Potter and the Prisoner of Azkaban, 2004

 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ジュリー・クリスティ、ロビー・コルトレーン出演、アルフォンソ・キュアロン監督
 脱獄した囚人と自分との接点を探ろうとする話である。
 人間関係や心情が極端に換わる感じがしてあまり面白くない。また、時間をさかのぼる行為があり、ストーリーを成立させるには無謀な感じがする。 登場人物が痛い目にあっているシーンがあるが結構頑丈だと思った。

『ハリー・ポッターと賢者の石』 Harry Potter and the Philosopher's Stone, 2001

 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン出演、クリス・コロンバス監督
 ファンタジーであるので、おとぎ話的な印象である。魔法界では有名な少年が魔法学校へ入学し、そこで悪の手から「賢者の石」を守るという物語である。 嫌な奴がライバルとして存在し、とても忠実な友人たちがいる。また、悪者だと思っていた人が実はいい人であり、その影には実際の悪者がいる。 そして、その実際の悪者を退治して、平和な世界を維持する。ストーリー的にはそれほど目新しいものではないように思う。

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 Harry Potter and the Chamber of Secrets, 2002

 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン出演、クリス・コロンバス監督
 学校の存続を危ぶませる問題が起こり、その問題をハリーと仲間たちが解決しようとする。
 あからさまに嫌な感じのライバルがいて、そのことを絡めながら、過去に解決できなかった学校に存在していた問題に立ち向かう。 前作に比べ、かなり内容的にも映像的にもレベルアップしている。 それぞれの登場人物などがストーリーに絡んでいて、無駄がない構成のように感じる。 恐怖感はそれほど重いものではなく、みんなが楽しめる映画である。

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 Harry Potter and the Goblet of Fire, 2005

 ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン出演、マイク・ニューウェル監督
 第4作目。三大魔法学校対抗試合が行われる。通常は各学校1人ずつで3人のみの出場だが、ハリーが4人目として出場することになる。 最後の試合で闇の帝王ヴォルデモートの罠が仕掛けられているが、切り抜ける。
 ストーリーに関して、魔法が使える状況と使えない状況の違いはどこにあるのかと疑問に思う。 魔法を使えば、とても強く、すぐに状況を打破できるように感じるが、魔法が使えない時は変に弱い。 ストーリーに関して言えば、あまり面白くは無い。

『遥かなる大地へ』 Far and Away, 1992

 トム・クルーズ、ニコール・キッドマン、トーマス・ギブソン、ロバート・プロスキー出演、ロン・ハワード監督
 奇妙な縁で一緒に行動することになった二人であるが、いろいろとかみ合わない面を持ちながらも一つの夢に向かって行動している。 最初からうまくいっていたわけではなく、いろいろとより道をしながら最終的に夢を達成する。 二つの階級に隔てられ、いろいろと葛藤する。 上の階級から下の階級の生活をするのには屈辱をともなう。 下の階級から上の階級への生活へのし上がるには何かしらの犠牲を伴う。 二人が二つの違った生活を行ったり来たりする。しかし、精神だけは捨て去ったりしてはいない。 上ばかり見て周りの状況を見失いがちになる。本来はそうでもないのに、自分が一段上に上がったと錯覚してしまう。 金だけが物をいう時代に、金を手に入れる人間と、金を失う人間がいる。 また、金を持たない人間と金を持つ人間の生活がある。 金を持たない人間は、金を持っている人間を利用しようとするが、実際は金を持っている人間が金を持たない人間を利用している。 利用されている人間はそれに気づかないことが多い。
 階級の低い人間の方に美徳があるような描き方になっているが、双方にいろいろな人間がいる。 双方の人間の野心や欲望がいろいろと表出しているように感じる。土地への執着心はどの時代でも同じなのかもしれない。

『半落ち』 2003

 寺尾 聡、原田 美枝子、柴田 恭兵、吉岡 秀隆、樹木 希林、鶴田 真由、伊原 剛志出演、佐々部 清監督
 メリハリがそれほどない。全体的に間がぼんやりと続く。展開の速い部分と、間がたっぷりととられている部分がもっと効果的に使われていれば良いと思う。 殺害された妻の姉が証人として尋問されたシーンだけが涙を誘う。 医者の守秘義務、ドナーの権利や義務など、映画の作品中での話では違和感を覚える部分がある。 裁判官の一人は、偏見、先入観を持ち出して判決に影響を与えるところは、それは正当なのかと疑ってしまう。 供述調書や裁判の過程のみを判決の判断の材料とし、判決に結びつけるべきではないだろうか。自分の私見を入れすぎなのではないだろうか。 また、直接的に自分は悪くないのに、謝る、自分のせいだという話は人々の感傷をさそう内容だろう。

『判決前夜 ビフォア・アンド・アフター』 BEFORE AND AFTER, 1995

 メリル・ストリープ、リーアム・ニーソン出演、バーベット・シュローダー監督
 真実を求めた結果を受け止める。事が起こった後と前とでは人生が違う。 一本の線上を生きていくことはできない。事が起こった時から別の線を引いて生きなければならない。 今までの線はそこで途切れることになる。新たな線を自分で選んで引いていかなければならない。
 真実に身をゆだねるかということのために家族がばらばらな気持ちを持っている。 絆を崩すまいと繋ぎとめようとするが及ばないこともある。 裁判上の無罪を選ぼうとするか、道徳的な感情を選ぶかで意見の相違を見せる。事後、家族は 以前のような関係には決して戻ることができない。別な関係を作り上げていかなければならない。 判決の結果を受け入れ、社会の流れに身を任せていかなければならない。

『ハンサム・スーツ』 , 2008

 谷原章介、塚地武雅(ドランクドラゴン)、北川景子、佐田真由美、大島美幸(森三中)出演、鈴木おさむ脚本、英勉監督
 道徳的な要素を含んだコメディである。見た目が明らかに不細工な男が紳士服屋で着るだけで格好よくなれるスーツを進められる。 袖を通すと変身して人格はそのままで明らかな別人となれるスーツを手に入れる。 変身した姿でモデルとなり、変身前の姿で定食屋を営む生活をしばらく送ることになる。
 感想としては、やはり美男美女は特だなと思うし、うらやましい。基本的にはみんなの願いではないだろうか。やはり、谷原章介は格好いいし、北川景子はかわいい。 しかし、この映画では「心」をテーマに、変身できるスーツを道具に使ってコメディとして描いている。 なお、最後の落ちは笑える。

『犯罪心理鑑定人』 Dark Asylum, 2001

 ポーリーナ・ポリスコワ、ラリー・ドレイク、ジャド・ネルソン、ユルゲン・プロフノウ出演、グレゴリー・ギエラス監督
 連続殺人犯が逮捕され、FBIに引き渡されるまでの間に精神鑑定をすることになり、 臨時に精神病院に収監する。精神鑑定をするために鑑定人が行き、精神鑑定をするが、そこで、犯人を自由にしてしまう。 そこから主に精神病院内で犯人との死闘が展開される。
 単に頑丈で破壊力のある犯人と、鑑定人の女性との闘いが描かれている。 首を絞めたり、殴ったり、逃げたりして、特に心理戦が展開されるわけではない。 登場人物の人物像が一貫していないような感じである。展開が結構強引である。  

『ハンニバル』 Hunnibal, 2001

 アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア、レイ・リオッタ出演、リドリー・スコット監督
 『羊たちの沈黙』の続編とされている。 『羊たちの沈黙』と違っているところは、人間の心理描写をあまり取り入れていないというところである。 行動分析というか、感情と言動の因果関係が描かれていない。 何故そういう行動を取るのか、というところに触れていない。 特別捜査官もただ単に陣頭指揮を取るだけにとどまっているように思われる。レクターの幼少時代に焦点を当ててレクターの 人物像に迫っても良かったのではないかと思う。ただ単に猟奇的な言動を取る異常者としか取れないところが 物足りなさを感じるように思う。単なる精神異常者ではなく、「大義」を持っている言動ならもっと納得の いくものとなっているだろう。 ダンテの『神曲』を読んだことのある人なら少しは理解が深められたかもしれない。
 "rude" 「無礼な」 という言葉がよく使われていた。真実や、本物を追究するのは良いことだが 社会的に受け入れられないのならそれは単なる「個人的な」自己満足や自己陶酔でしかないのではないだろうか。 rude という言葉にこだわりを見せるということは、無作法であり、無礼な言動をされることに敏感に反応するということであろう。 敏感に反応するということは、そういう行為をされることに何かしらの感情をともなっているからであろう。 その何かしらの感情とは、心地よいものではないだろう。誰かしらの行為に、rude という言葉を当てはめて 極端なリアクションをおこすことから、とても自尊心の高さを感じることができる。 自分のほうが相手よりも高い位置にいるように感じているのだろう。目の高さが相手よりも高く、 そうであるので、他者から失礼な言動を浴びせられると、怒りをまじえ過剰に反応するのだろう。 無礼であったり、粗野であったり、野蛮であったりすることを嫌う、理路整然とした性格を持っている人間のように思える。 指紋を残さぬように手袋をしたり、ワイングラスを拭いたりするところから、用心深さや几帳面さをうかがえる。 物事を体系的に捉え、判断能力も長けているような印象を受ける。それでいて、rude な他者には容赦無く 反応する衝動的な面を見せ、自ら神罰を加えようとする威圧的な行為を取る。 いっけん紳士的な行動を取るが、他者の紳士的でない無礼な言動を許すだけの、余裕のある豊かな心の広さ、寛容さ、慈悲を持っていない。
 クラリスに関しても、「あたたかさ」に欠けた印象がある。初々しさや人間の柔らかさ、しなやかさが失われた感じがした。
 スイス銀行でお金を数えているシーンで、カウンターに「MUSASHI」と書いてあったのは少しうけた。

 カルリーノ・デ・パッツィ・ディ・ヴァル・ダルノ。1302年、フィレンツェの黒派とルッカ市民が ピストイアを攻めたとき、彼はフィレンツェの白派のためにアルノの谷の一城を守っていたが、 買収されてそれを黒派の手に渡した。裏切りの罪は肉親殺しのそれよりもはるかに重いとされる。


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