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映画の感想

ミ ム メ モ

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『ミザリー』 Misery, 1990

 ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ出演、ロブ・ライナー監督
 シリーズものの最新作を書き上げた小説家が雪道を運転中、吹雪となり、作品とともに崖へ転落する。 元看護婦で彼の一番のファンだという女に助けられ、かなりの重症であった彼は彼女の家で介護を受ける。 雪に閉ざされ、道路も通信も寸断された状態で彼は次第に彼女の偏狂的な行動に恐怖を感じるようになる。
 彼女の常軌を逸した行動や表情などはとても恐ろしく表現されている。 期待どおりにならないと露骨に感情をあらわにし、他を攻撃する。彼の身動きの取れない状態での立場の弱さ、反抗、反撃できずに屈する惨めさ、苦痛がよく分かる。

『見知らぬ乗客』 Strangers on a Train, 1951

 ファーリー・グレンジャー、ルース・ローマン、ロバート・ウォーカー出演、アルフレッド・ヒッチコック監督
 テニスプレーヤーがたまたま乗った列車の乗客に話しかけられ、テニスプレーヤーの妻を殺す代わりに自分の父親を殺してくれと頼まれた。 テニスプレーヤーはそんな話に耳を傾けることは無かったが、実際、男は妻を絞殺してしまう。そこから交換殺人をするように強要される。
 スリルがあるということはないが、ライターを小道具としてストーリーが進んでいく。 狂った思考の男の奇妙さはとてもよく表れている。期待を裏切られない結果となるところがよい。

『Mr.&Mrs. スミス』 Mr. and Mrs. Smith, 2005

 ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、ヴィンス・ヴォーン、アダム・ブロディ、ケリー・ワシントン出演ダグ・リーマン監督
 敵対する組織のメンバーの男女が互いに身分を隠して結婚したことから始まるアクション映画。
 爆発ばっかりの映画よりは、夫婦間のやりとりもありいい映画だと思う。 夫婦には嘘や建前があってもよいと思う。すべての真実を相手に伝える必要は無いのだと思う。 しかし、本当に信頼しあうのであれば、ある程度は伝える必要があるのではないのかと思う。 お互いの正体を知った後の家での食事のシーンは、お互いを探る心理があり、とてもおもしろい。

『Mr.インクレディブル』 The Incredibles, 2004

 ブラッド・バード監督
 アニメーション
 特別な力を持っていて事件や災害時に人々の役に立っていたのだが、裁判社会であるために人助けをしたことで訴えられることが頻発した。 政府による保護プログラムにより、力を封じ、身分を隠して生活を強いられたのだが。
 スペシャルパワーを持っている人間がヒーローになれるわけではなく、 スペシャルパワーを人のために役立てる人間がヒーローになれるのである。 映像は質感も増し、かなり違和感がなく見られる映画となっている。

『ミスター・グッドバーを探して』 Looking for Mr.Goodbar, 1977

 ダイアン・キートン、チューズデイ・ウェルド、ウィリアム・アザートン、リチャード・ギア出演、リチャード・ブルックス監督
 児童期に身体的、情緒的な苦痛を受けたために大人になった時に歪みを外に現すことになる。 歪みを簡単に現すことができるものはlust 肉欲であった。perfectな身体を持っているわけではないので それに対するこだわりがある。妬み envyがある。 純粋に人を愛するということでセックスしたりするのではない。 ドラッグと同じように、女性解放の弊害のように自由になっていく。 女性の権利の平等を主張して、それが浸透しようとする時の浮ついた現実とのギャップに人間の精神的な 脆さが入り込んだような感じがする。どこへ向かうとも知れない先の見えない不安定さをあらわしている。

『ミスティック・ピザ』 Mystic Pizza, 1988

 ジュリア・ロバーツ出演、ドナルド・ペトリ監督
 アルバイトでウェイトレスをしている3人の女性の物語である。 婚約をしている女性や、恋人を見つけようとする女性や、才女でベビーシッターもしている女性がいる。 それぞれが自分の個性に沿って行動している。 自分の思うとおりに行動して傷つきもし、幸せにもなる。 自分ひとりではなく、いろいろな人間関係を経て自分が進む道へ何とかたどりつく。 寄り道をしつつ、回り道をするがそれが人生の糧となる。 くだらないと他人は分かっていても自分にとってはそれが真実だとは思えない。 自分が痛い目を見ても体験するまでは受け入れない。 若気の至りというか、若さゆえの失敗や行動をする。それが若さの証拠ではあるが、 いろいろな考えといろいろな道をたどっていく、そういう若い女性たちの人生の旅立ちが描かれている。

『ミスティック・リバー』 MYSTIC RIVER, 2003

 ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン出演、クリント・イーストウッド監督
 かつて3人は子どものころ遊び仲間だったが、そのとき警官を装った男に1人が4日監禁され暴行を受けた。 それから25年が経ち、それぞれの生活と立場をもっていた。その3人のうちの1人の娘が何者かに殺害されたことによって、再び3人が妙なつながりを持つことになる。
 それぞれの心情はそれほど描かれていない。監禁され暴行された男の苦悩も思ったほど描かれていない。フラッシュバックはあるが、やるせない忘れがたい過去としては描かれていないように感じる。 人間の弱さ、脆さ、過去に縛られていて臆するということを感じることはない。 基本的には、強く生きている者が生きつづけ、ひっそりと生きている者はいつ誰かによって途絶えさせられるかわからないような世の中の構図ができてしまっているように思う。
 初聖体とは、幼児洗礼を受けた子供が、一定の年齢になって、ミサの中での「御聖体〜聖体拝領」の意味がわかるようになって 初めてキリストの身体となったパンを頂く儀式で、子供の成長を、親子ともども神に感謝し、新たな信仰の誓いをたてる節目となるものである。 妹の初聖体の当日に死体が発見されるということは、殺害された当人が聖体拝領を受けた後も罪を犯していたことを案じさせるような感じである。 また、その父親も信仰にそむくことをしていたということを感じさせるものである。また、実際に罪を重ねていく姿が映し出されている。 行動と罪、罪と宗教、宗教と行動は、本当に人の内側だけで関係づけるものであろう。

『ミス・ファイヤークラッカー』 Miss Firecracker, 1989

 ホリー・ハンター、メアリー・スティーンバージェン、ティム・ロビンス出演、トーマス・シュラム監督
 年齢的に最後のチャンスとなる年にミスコンテストに応募する。決してきれいで品のある生活など送ってこなかったカーネル(ホリー・ハンター)は これまでの自分とは違う自分となりたいと思う。 ミスコンテストを通じて、従姉たちとの関係、これまでの自分との決別、これからの自分の進むべき道を見出す。 また、従姉たちもそれぞれの自分の道を模索し、決断しようとする。

『道』 La Strada, 1957

 ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クイン出演、フェデリコ・フェリーニ監督
 イタリア映画
 ジェルソミーナを置き去りにしたことの悔恨が、ザンパノが自分の自慢の芸を披露する時の態度に表れている。 ザンパノは心ここにあらずという感じで無機質に芸を済ませてしまう。
 彼女が横になっている間にこそこそと気づかれぬように鍋などを片付け、彼女の荷物を傍らに置き、逃げていく。 気づかれぬように車も途中まで自分で押してそれからエンジンをかけて走り出す。 ザンパノがわずかばかりのお金を残していく時の、彼女の寝顔が安らかでありそれがとても切ない。
 修道院での夜が彼に対する思いのピークであっただろう。彼女は彼に好きだと言われたら彼と共に生きる決心をしたに違いない。 そうでなければ、自分の事を好きかなどと彼に聞くことはないだろう。 1万リラと引き換えに旅芸人のザンパノに引き取られ、彼の女癖、酒癖の悪さに嫌気がさし、何度か逃げ出そうとしたが、彼に引き戻されていた。 それが次第に、彼に慣れ、車の中が自分の家のように感じ出していた。 芸も自分から学ぼうとし、明らかに引き取られた当初とは彼女の意識は異なっていた。 それがある事件をきっかけに全てが狂ってしまう。彼との関係も、彼女の精神も。 彼は必死になだめようとするが、彼女の精神は普通ではなくなる。事件を目の当たりにした時に発した言葉を何度も繰り返す。 彼はその言葉から逃れる為に彼女からも逃げ出してしまった。
 彼女の表情とそのうちに秘めた思い、芸をする時のメイク、その笑顔、食事をしている時の表情など、彼女の境遇、状態を考えると切なくやるせない、苦しさをおぼえる。

『ミッション:インポッシブル』 MISSION:IMPOSSIBLE, 1996

 トム・クルーズ主演・製作、ブライアン・デ・パルマ監督
 データを盗み出すときの緊迫感はとてもよく伝わってくる。 体力と知力とハイテクを駆使して日常の生活とはかけ離れたところで活動している。 映画の見所としては多く、十分目をひきつける。しかし、なんだかさらっと流せてしまう感じがする。 裏切る人間の大儀が感じられないから、あまり切実さがなくあっさりとした印象が残るのだろう。

『ミッション:インポッシブル2』 Mission: Impossible II, M:I-2, 2000

 トム・クルーズ、タンディ・ニュートン出演、ジョン・ウー監督
 キメラというものが何者かに奪われそれを取り戻すストーリーである。
 アクションとしては成功なのかもしれないが、心理的な駆け引きや、謎解きがあるわけでもなく、単なるエンターテイメントである。 好きな人は好きかもしれない。迫力や臨場感は乏しい。

『ミッドナイト・エクスプレス』 MIDNIGHT EXPRESS, 1978

 ブラッド・デイビス、ジョン・ハート、ランディ・クエイド、アイリーン・ミラクル出演、アラン・パーカー監督
 トルコから大麻を密輸しようとしたアメリカ人青年がトルコの刑務所に収監され、そこから脱獄するまでを描く。
 恋人と旅行中に大麻を買った青年が、友人たちに売るために大麻を体に巻きつけトルコから出国しようとする。 安易な気持ちであったのだろうが、その安易な気持ちで自分の人生をゆがめてしまう。 収監され、囲いの中に閉じ込められ、自由を奪われ、孤独に浸される。 行きたいところへ行く、食べたいものを食べる、買いたいものを買う、そういった個人の行為が制限されてしまう。 法を守っていれば当たり前のことができなくなってしまう。それが罰なのだろう。 その罰が政治や国家、宗教によって程度が異なってくる。この映画ではそういった点も描かれている。 自分を律し、最初の裁判での刑期を終えようとした時に、上級裁判によって30年となってしまう。 天国へ上ろうとしていたその瞬間に、上から地獄へと叩き落されるような気持ちであろう。 言葉では言い尽くせない脱力感、憎悪、絶望を味わうこととなる。 人生というものは、現代では法を守ってこそ自由意思で遂げることができるものであろう。 人間らしく生きるためには、法を遵守することが必要だということだろう。

『耳をすませば』, 1995

 近藤 喜文監督
 アニメーション
 思春期の理想と現実を描いている。 現実の感情と理想の感情の差を描いている。 また、現実と理想世界の差を悲しく描いている。平凡ではなく自分は特別でいたいと思う。 しかし平凡な人間だ。彼女は現実の自分を見失うことなく切り開いている。 自分の人生をいろいろな障害に立ち向かいながら切り開いている。 夢とか希望という言葉を失いかけている今の中学生とは違って、思春期のすばらしさを表している。 何の目標のない詰め込み型の勉強ではなく、自分の目指すべきものを見つける過程を描いている。 この映画で描かれている女の子は特別な女の子かもしれないが、本質は皆同じである。 一つの大人になるという成長過程を描いている。 あの時期で勉強する意味を見出す女の子には感服する。 私も良い友人に出会えていたらなぁと過去を振り返る。しかし、もう失われた時間である。 この映画は夢を与え、思春期の切ない感情をうまく表していると思う。

『ミュージックオブハート』 Music of the Heart, 1999

 メリル・ストリープ出演、ウェス・クレイヴン監督
 この映画としては、技量や迫力などのヴァイオリンを弾いているところを見せるのではなく、 臨時職員(教員)として地域社会に貢献したその結果、児童の保護者などの協力を得て、 大舞台で演奏することになる過程を描く。 家庭の問題から端を発し臨時職員となり、 そこでの教えといままで教えてきた自分の子どもに教えるのとでは教え方が違ってくる。 母と息子たちの関係ももう少し並行して描かれ、 そういう違いなども表現されているともっと深みが出るように思う。

『ミラクルズ 奇跡のカップル』 Miracles, 1985

 トム・コンティ、クリストファー・ロイド、テリー・ガー出演、ジム・コーフ監督
 偶然が重なって最後には結婚する。 意思疎通がうまくできなくて別れることになったのだが、いろいろなことに巻き込まれて二人だけでいることが多くなる。 状況的にいろいろな自分の思いを吐き出す。そうすると互いの意思が確認できるようになった。 普段なら言わなかったり、あきらめていたりすることだが、 状況的に隔離された空間で二人だけで言葉を交わしたりする。 二人の関係は今までは言葉たらずであったのだった。完全に意思の疎通ができる前に自分の気持ちを伝えなかったので 不和を生んでいた。危険なことに巻き込まれて、それを解決するたびに結束が固くなっていく。 同じように痛い目にあうことで気持ちが繋がっていく。相手と同じ状況にいるということで親近感がわいてくるのだろう。 偶然が重なったり、危険なことに遭遇していくうちに二人の気持ちが接近していくというものが描かれている。

『ミリオンダラー・ベイビー』 Million Dollar Baby, 2004

 クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、アンソニー・マッキー 、ジェイ・バルチェル出演、クリント・イーストウッド監督
 生まれながらにして貧しく、女でありながら13歳から働き、ウェイトレスをしながら、自分が目指す道を歩こうとする。 客の残した料理を持ち帰り、犬のえさにするといいながら、自分の夕食とする。 頑固であるが、信頼する人の教えを乞い、30歳を過ぎてボクシングの世界タイトル奪取の目前までたどり着くが・・・。
 彼女は尊厳死を望み、トレーナーの初老の男は安楽死をさせるべきかどうかを悩む。 精一杯生きて悔いは無いのかどうか、これまでトレーナーとしてみてきた数々の人生の分だけ葛藤する部分がある。 彼女は家族のためを思い、お金を貯め、母親に中古の家をプレゼントをするが、その思いは結果として踏みにじられる。 見舞いに来た家族に裏切られ、病床で悲嘆に暮れる彼女の意思はとても重いことだろう。 信頼や愛情は、血のつながりとしての家族に対するものより、本気で接してきた人間への思いのほうが強いと感じる。

『ムッシュ・カステラの恋』 LE GOUT DES AUTRES, 2000

 アンヌ・アルヴァロ、ジャン・ピエールバクリ、アラン・シャバ出演、アニエス・ジャウイ監督
 フランス映画
 いい人なのだが、周りの人が自分の事をどのように評価しているかに全く気づかない会社社長の恋を描く。 いい人なのだが、場や雰囲気、人の顔色を読み、周りがどのように思っているかに気づけない。だから、ある意味幸せなのだが、周りからの信頼は無い。 決して自己中心的なのではなく、ただ雰囲気を読めないだけである。 偶然な出会いである女性に恋をするのだが、その女性との関係をよくしようとしたり、彼女の為に努力をしたりする。しかし、その彼の行動は彼女にはむしろマイナスであった。 そして、その努力と気持ちを伝えても受け入れられる事は無かった。 受け入れられなかった事がきっかけで、彼はしだいに人の感情に気づくようになっていく。 人の気持ちに気づき、自分の感情も表出する事でギクシャクする関係もあり、 うまく聞く関係もある。彼は自分にとって必要であると思われるものの気持ちを汲み取りこれからの生活をおくろうとする。 彼女の方も、彼の気持ちを知った事と彼の行動が変わった事で彼に対する感情を変化させていく。

『ムッソリーニとお茶を』 Tea with Mussolini, 1998

 シェール、ジョーン・プロウライト出演、フランコ・ゼフィレッリ監督
 身分と地位を誇りとしてそれにすがっている女性や美術を愛する女性と、 美術品などを収集するアメリカ人女性を通して、女性のいき方、彼女たちに育てられた男を描いている。 芸術というのは戦争とはかけ離れているように思える。もちろん、戦争をテーマに芸術を創作する芸術家もいることであろう。 しかし、過去の産物を戦争の破壊から守ろうとする大義なのか、それとも道楽なのかは区別はつかないように感じる。

『メカニック』 THE MECHANIC, 1972

 チャールズ・ブロンソン主演
 HIT MAN の物語である。裏切りや仕返しなどいろいろとある。 殺し屋として完璧な仕事をしてきた男だが、自分が殺した男の息子に自分の仕事を教えることになる。 若い男と仕事をするにつれ信頼をしていったのだがあっさりと裏切られることとなる。 殺し屋ということもあり、男達の心情は描写されていない。淡々と冷静に自分の仕事をこなしている。 殺す男の生活を事前に調査してその生活パターンから殺し方を考える。 事故に見せかけるために裏でいろいろと工作する。全体的にクールなハードボイルドタッチで描かれている。 しかし、若い男のほうは少し違うように描かれている。若い男と熟練の男の姿は対比して見ることができる。

『めぐり逢い』 Love affair, 1957

 ケーリー・グラント、ドボラー・カー出演、レオ・マケリー監督、原作、脚本
 自制心のある愛情はとてもいいものだと思う。 イージーな関係でない愛情はとても切なく、難しいものかもしれない。 相手を本気で思うがゆえに、自分の本心を伝えることができない。 新しい記憶を作り、新しい記憶を作ろうとする行為に邁進する。 今の自分よりもずっと高いところへ登ろうとする。 自分本位の感情だけではなく、相手を思う気持ちのある生活には人間の本質的なものを感じる。 自分の道と相手の道が同一であるという幸せがなんともいえない暖かさがある。 自分ひとりきりではない、生活の豊かさと艶やかさが残る映画である。 安易ではない深い人間的な関係を味わうことができる。

『めぐり逢えたら』 SPEEPLESS IN SEATTLE, 1993

 トム・ハンクス、メグ・ライアン主演、ノーラ・エフロン監督
 "destiny", "magic" がいくつかの内のキーワードだろう。
 父と同じように息子もさびしい。と電話で言われた時から、父親の心情が前向きに変わる。
 アニーの心情の動きがうまく描かれていると思う。偶然車の中でラジオを聞く。その夜から眠れなくなる。 婚約者との生活に多少違和感を抱く。婚約者への想いが冷めて行くのと反比例してサムへの関心が高まってくる。 結婚しようとしている自分にだんだん自信を失っていく。自分の兄に結婚のことを聞いて自分を正当化しようとする。 兄に自分の結婚は間違っていないという気持ちを後押ししてもらおうとする。兄にこの自分の気持ちに同意してもらって安心しようとする。 自分と同意見の人を積極的に集めようとする。不協和(サムへの関心)を解消しようとする。 自分にとって差し迫った結婚に対する協和的な情報(今回の結婚は自分にとって正しいものだという情報)をたくさん集め、不協和を解消しようとする。 そのために自分の兄に同意してもらおうとし、勝手に納得しようと試みる。 私立探偵にサムの情報を収集してもらおうとしたり、手紙を出したりするのは、不協和を解消使用とする行為と不協和を逆に協和的にする行為に取れる。  差し迫った結婚を解消することは最初の方ではアニーにとっては不協和であるが、 サムに関心が向くことが主になると、婚約を解消する行為は逆に協和的になる。 サムに関する協和的な情報(サムはいい人だ、自分にとって本物の人だという情報)を後半では積極的に集めようとし、自分で納得しようと試みる。 最初は不協和であったものが、後半では協和的なものになっている。この移り変わりはおもしろい。
 「映画」の中の女性はタクシーにひかれたが、アニーはタクシーにはひかれなかった。この違いも良いだろう。
 この映画の中で、手に多少のこだわりがあるようだが、アダムとエヴァが楽園を追放される時にも手と手をとりあって出て行く。(ミルトン 『失楽園』より)

『メゾン・ド・ヒミコ』 , 2005

 オダギリジョー、柴咲コウ、田中泯、西島秀俊、歌澤寅右衛門、青山吉良出演、犬童一心 監督
 日本映画
 父親がゲイで、それを告白し、母と自分を捨てた父親の終末を迎える。看護ではなく、アルバイトとして父も住むゲイが暮らす老人ホームへ毎週日曜日に通う。
 『私はあなたが好きよ』 ゲイの父親が娘に対して言う言葉である。女として愛する、娘として愛する、子どもとして愛する、そういういろんな感情が込められているように思う。 同性が好き、異性が好き、性の対象としていろいろある。これはなかなか難しい問題である。 条例や法律で制限される性もあるし、制限されないが一般的には理解がしづらいもののある。 自分の性の趣向のことだけではなく、家族に及ぼす影響もある。かなり難しい問題である。 娘は最初に老人ホームを訪れた時は嫌悪感を表すにするが、次第にゲイの感覚や社会的な立場に対して理解を示していく。

『メッセージ・イン・ア・ボトル』  Message in a Bottle, 1999

 ケヴィン・コスナー、ロビン・ライト、ポール・ニューマン出演、ルイス・マンドーキ監督
 偶然海岸で拾ったビンの中に入っていた1通の手紙を見つけたことで、再び愛することができずにいた男女の再出発を描く。 死別や離婚によって伴侶と別れたが、それ以降、出会うことや愛することに消極的になっていた。 しかし、新聞に海岸で見つけた手紙を載せたことで気持ちが動き出す。 男女は、それぞれの過去の思いに区切りをつけるために一時的に離れるが、本当の愛がわかったときには、すでに時遅しとなる。
 少し話が作り上げられすぎた感じが残る。手紙を読んで他者を愛する気持ちに触れたことで、他者を愛しているその人を自分が愛してしまうということは多少変な感じがしてしまう。 本質的には何が好きだったのだろうかと疑問が残る。容姿に惹かれたりするのはわかるが、単にそれだけでそれ以上に感情が発展する要素はあまりないように思う。

『メトロポリス』  METROPOLIS, 2001

 手塚治虫原作、大友克洋脚本、りんたろう監督
 アニメーション
 次世代の都市、メトロポリスのおけるロボットと人間の関係が描かれている。 機械やコンピュータによる生活基盤に依存しているが、そのことにより必要とされない人間が発生してくる。 スラムに生きる人々と、機械ロボットを操る人間との間には貧富の差や支配構造の軋轢がある。 その中で支配とテクノロジーの象徴ともいえる超高層ビルの完成を祝うが・・・。
 それほど感情移入したり共感できるような要素はないが、映像は昨今のCG技術により迫力のあるものである。 知能を持った機械が自らの行動を判断し決行していくという行為はいずれやってくるであろうし、そのことでの弊害や脅威は危ぶまれることであろう。 また、機械が自ら自生するようになるとそれは人間と同等になるということであろう。そのようになると老いのある人間は劣等として扱われることになるのであろうか。

『めまい』  Vertigo, 1958

 ジェームズ・スチュアート、キム・ノヴァク、バーバラ・ベル・ゲデス、トム・ヘルモア出演、アルフレッド・ヒッチコック監督
 高所恐怖症を利用して、真実を隠そうとする策略はアイデアとしては面白いと思う。 また、本当の話なら、それを見込んでストーリを筋立て、実行した首謀者の用意周到さはすばらしい。 女性を愛してしまったところが、この策略を暴くきっかけとなるのだが、 愛した女性の真似をさせられる、愛した女性の格好をさせられる、 その女性の身代わり、残像を重ねられるという事は、実際に存在している人にとっては惨めで複雑な気持ちであろう。 また、女性は気丈なのだが、最後の結末として、結構もろい精神状態の持ち主として描かれている。 このあたりが、道徳心や節操をある程度重んじる社会で作られた映画の感じがする。 なお、ミッジの存在が多少切なく感じさせる。

『MEMORIES』  , 1995

 大友克洋、森本晃司、 岡村天斎監督
 アニメーション
 1話目、アニメーションだからできるようなストーリーと映像である。思い出の中で生きる虚像に満足する心の寂しさが表れている。現実に満足できない生き方自体もつらいと思う。
 2話目、「最臭兵器」である。人間が兵器となるところがよい。なお、最臭でなくても人間自体が兵器の根源だと思う。
 3話目、「何と戦っているの」と子どもが父親に聞くと、「大人になればわかる」という回答が、戦争のあいまいさ、わかりにくさが表れているように思う。

『メリーに首ったけ』  There's Something about Mary, 1998

 キャメロン・ディアス、ベン・スティラー、マット・ディロン、リー・エヴァンス、クリス・エリオット出演、 ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー監督
 13年間も片思いを続けていた男が、女性の消息を探そうとしたことから、いろんな人物が登場し、いろいろなことが起きる。
 すこし品の無いところもあるが、基本的にはばかばかしいコメディである。 アメリカ人のイメージにはないちょっとうじうじした感じの男がいろんなことに巻き込まれる。メリーに会いに行く途中の警察での事情聴取のシーンがばかっぽくてよい。 メリーの弟のウォーレンがキーパーソンとなり、最後はすこしほろっとするが、なかなか笑える映画である。

『メン・イン・ブラック』  Men in Black, 1997

 トミー・リー・ジョーンズ、ウィル・スミス出演、バリー・ソネンフェルド監督
 地球に住むエイリアンの監視を担当する秘密組織に入ることになった元刑事と、その組織ですでに活躍しているエージェントが地球を救うストーリーである。
 ストーリーの発想は面白いと思うが、映画自体は何が面白いのかよくわからない。 それほど笑える映画ではないと思う。もっとばかばかしい笑いがあってもよいかと思う。 なお、くだらないことをまじめな顔で話していたり演じていたりするところはすごいと思う。

『メン・イン・ブラック2』  Men in Black II, 2002

 トミー・リー・ジョーンズ、ウィル・スミス、ロザリオ・ドーソン、ララ・フリン・ボイル出演、バリー・ソネンフェルド監督
 「ザルタの光」をめぐり、地球に住むエイリアンの監視を担当する秘密組織のコンビの活躍を描く。
 前作を見ていることが前提だが、前作に比べるとずいぶんと面白い。 冗談や言い訳、対応がくだらなく、ばかばかしくて楽しい。 まじめな顔をしてもっともらしくくだらないことをやっているギャップが良い。 美人の敵がいて、きれいなヒロインの存在が映画自体を張りのあるものにしているように思う。 笑いに不愉快さはなく、楽しく見られる映画である。

『メン・オブ・ウォー』  Men of War, 1994

 ドルフ・ラングレン、シャーロット・ルイス、ハロルド・T・ライト出演、ペリー・ラング監督
 ある利権のために雇われた傭兵が、島民を抱き込むはずが、島民のために戦うことになる。
 それほど迫力があるアクションではない。ストーリーもそれほど面白いものではない。なんだかこじんまりした映画である。 人間性というか、人間味のある映画でもない。

『免許がない!』 , 1994

 舘 ひろし、墨田 ユキ、西岡 徳馬出演、明石 知幸監督
 人気映画スターが40歳過ぎて合宿で免許を取りにいくというストーリーである。自動車の教習の場面が多く、癖のある教官に教習を受ける。 ほとんどの人が自動車免許を持っている世の中で、多くの人が経験したことがあるような事柄をおもしろおかしく表している。 表現もおかしくコミカルな感じで展開する。

『無問題』  , 1999

 岡村隆史、佐藤康恵、ジェシカ・ソン サモ・ハン・キンポー ロー・ワイコン出演、アルフレッド・チョン監督
 香港、日本映画
 恋人を追いかけて香港に行った男が、密入境した女性を匿い、その女性の恋人探すのを手伝う。
 前半はテンポが悪く見るのが退屈な感じもする。後半は恋愛映画なのか、アクション映画なのかよくわからず、笑いもそこそこな感じで終わる。 期待していたよりは、それほどキレのある感じではなかった。なお、玲子の存在が中途半端な感じだった。 近くに存在しているきれいな女性に魅せられるというのは、分かる感じがする。

『黙秘』  Dolores Claiborne, 1995

 キャシー・ベイツ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ジュディ・パーフィット、 クリストファー・プラマー、デイヴィッド・ストラザーン出演、テイラー・ハックフォード監督
 過去の記憶が少しずつよみがえる。自然と浮かびあがってくる記憶と意識的に思い出そうとする記憶。 過去の記憶をたどって行く。
 いろいろなことが過去の事件の誘因になる。破れたズボンの穴と日食。自分が転落しそうになる穴と夫が転落した穴。 仕えていた夫人の夫の死と自分の夫の死。 過去の事件と現在の事件が交錯する。口癖。アルコールの銘柄。いたずら電話のベル。ライト。フェリー。コーヒー。

"An accident can be an unhappy woman with the best friends."
母を憎む娘。子を思う母。自分の苦しみを他者のせいにする。 状況が明らかになるに連れて、自分の過去を振り返る娘。抑圧していたものを表に出す。 心的外傷を直視するようになる。自分の辛さと母の辛さを同等とする。それを理解したら母を理解できる。 親が子を子が親を思う。

『模倣犯』 , 2002

 山崎努 、中居正広 、藤井隆 、津田寛治 、木村佳乃 、伊東美咲出演、森田芳光監督
 ディジタル化した社会を利用し、メディアに誘拐、監禁、殺人の犯行を披露する。そこには主義主張を持った人間がいて、筋を立てて犯行を繰り広げる。
 結末を見ると、自分というものを認識し、自分を理解したうえで、理性的に犯行をし、 犯罪を犯す人間になる動機やきっかけのメカニズムの一部を最後に証明させようとする人間を残す。 スマートに犯行を重ねていく人間と、アナログ的に感覚により犯罪を感知する人間がいる。 知性としては優れ、論理的な思考ができるが、精神としては病的な面を持っている。 ナイフとフォークを使い肉を食べている食事のシーンが何度かあるが、そのシーンはとても不気味な感じがしてしまう。 そこには理性的な表面の部分と「肉」を食い他の欲求を満たすという感じがある。 なお、登場人物のつながりや関係が映像だけではあまりよくわからない部分がある。

『もののけ姫』 1997

 宮崎 駿監督
 アニメーション
 「怒り」と「憎しみ」という言葉はよく使われていた。怒りと憎しみによって破壊されて、怒りと憎しみが消えて再生していこうとする。 「共にいきる」「生きていれば何とかなる」という言葉も耳に残っている。
 人間からの視点と森や森の生き物からの視点。人間の一方的な欲望。 人間側の価値観と森側の価値観が対立する。森を侵す人間、森を取り戻そうとする生き物たち。 その橋渡しをアシタカがする。人身御供をして捧げられたサン。もののけとしても、人間としても生きられないサン。
 鋭い音。サンの中にある人間的な部分に響く音か、もののけとしての部分に響く音か…。

『モンスターズ』 Monster, 2003

 パティ・ジェンキンス監督
 父親の親友にレイプされた女と同性愛者の女の奇妙な一時期の生活を描く。
 売春婦として金を稼ぐ女とその温雅が稼いだ金で生活をする女の物語。 どちらの立場の女としてもとても寂しい。こういう人生が存在する社会を生み出す国家がとても惨めだと思う。 貧富の差、職業訓練など、まっとうに生きるための教育や、術を身につけさせるべきだと思う。 それが国家の役割だと感じた。とても残念な人生だと思う。

『モンスターズ・インク』 Monsters Inc, 2001

ディズニーアニメ
 すごい映像で圧巻である。映像にユーモアもあり、ある場面ではスピード感や距離感がある。 内容に意味を持たせようとしたら持たせられるが、とにかくよくできた映像である。 視点はかゆいところに手が届くような絶妙な角度であったり、位置であったりする。 ストーリー的にも、同じことをやるにもビジネスの発想の転換を感じさせられるし、 効率の良さを追求しなくてはならないことが分かる。 3代続いた会社ということであり、その岐路において費用対効果の度合いを高める必要があるが、 その方法としての経営戦略の違いがその会社の存続を脅かすことになる。 子供に対しての愛着であったり考え方もよく分かる内容である。


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